ValveはSteamOSを搭載したミニPC、Steam Machineを発表しました。
SteamOSのおかげでPS5のようなコンシューマ機に近い使いやすさを持ちながら、Steamのストアにある多種多様なゲームをプレイできるという、ゲーム機とCS機の良いとこどり?のようなミニゲーミングPCになります。
PCといえばPCだけど、(中身はLinuxですし)カテゴリ的には既存のミニPCとはちょっと違いますね。でもこれからはゲームができるミニPCは?の選択肢の中に、Steam Machineが加わると考えるとかなり強力ですね。
仕様
- CPU:AMD Ryzen Zen 4(6コア12スレッド / 最大4.8GHz / 30W TDP)
- GPU:AMD RDNA 3(28CU / 最大2.45GHz / 110W TDP / 8GB GDDR6 VRAM)
- メモリ:16GB DDR5
- ストレージ:512GB / 2TB NVMe SSD(M.2 2230、換装可)
- ポート(前面):
USB-A3.2 Gen1 ×2
Micro SDスロット - ポート(背面):
HDMI 2.0
DisplayPort 1.4
Ethernet
USB-A2.0 ×2
USB-C 3.2 Gen2 ×1 - 無線:Wi-Fi 6E、Bluetooth
サイズ:約162×156×152mm
CPU、GPU版ともにカスタム版と記載されているので既存のPC向けのものとはちょっと違うようです。
CPUで最も近そうなのはRyzen 5 7545Uで、Passmarkスコアは20,274とPC向けとしては十分ミッドエンドの領域です。
GPUで近そうなのはRX 7600M(28CU / 8GB)でPassmarkスコアは10,999です。こっちはTDPが90W / 2.04GHzで、Steam Machine側が110W / 2.45Ghzなのでこれより上にはなりそうです。
参考までに、RX 7600Mの性能はRTX2060(Laptop)〜RTX 1070(Laptop)の中間くらいです。Steam Machine側はミッドエンド真ん中くらいにはなりそうです。ポート構成はまぁまぁ充実。
映像出力はDisplayPort1.4とHDMI2.0です。DP1.4(8K60Hz / 4k240Hz)に比べるとHDMI2.0(4k120Hz ※)が一歩劣る感じですが、このマシンのスペック的には残念ながら4k240Hzを活かせる場面は少なさそう(2Dゲームとかならまぁ…)なので、あんまり気にしなくて良さそうです。
(※HDMI2.0は使用上、最大出力は4K60Hzなのですが、公式サイトでは4k120Hzと記載されています。どちらが正しいか不明ですが、ここでは公式サイトのものを採用しています)
今時のWi-Fi6eにも対応しているので、「マルチプレイしないし有線じゃなくていいや」という人でも(環境が整っていれば)高速な回線でダウンロード可能です。
ゲーム機?PC?
本機のOSはSteam Deckと同じSteamOSです。

SteamOSはLinuxなのでPCにもなりますが、どっちかというと(Steamという一大プラットフォームが開発したゲーム用OSということだけあって)PS5のようなコンシューマ機としての使い勝手がまず先に来るでしょう。
おそらくPS5 ProよりもGPUの性能は上になります。ゲームって大体GPUの性能で決まるので、基本的には上になると考えていいですが……SteamOSは基本的には互換レイヤーでゲーム動かすことになるので純粋に上かどうかは何とも言えません。同等程度は期待できるでしょう。
PCとしてみるとあくまでLinuxなのでWindowsと違う点は注意ですが、ChromeOSと同じようにウェブアプリをメインで使うならそれはそれでいいんじゃない?という感じはします。
ウェブアプリじゃない、ネイティブアプリに関しては例えば画像編集ならGIMPなどのオープンソース文化の資産が使えるし、動画編集でもオープンソースのアプリの他、Davinchi ResolveやFilmoraのような有名どころも利用可能です。最近ではBeutlのような国産アプリも開発されてますね。
SteamOSにもバックグラウンド録画(後から録画)も実装されてるので、他のゲーム機やゲーミングPCと比べても使い勝手で劣るとかはなさそう。
純粋なゲーム機としてみてみると(CS機と同じジャンルで見るならば)、Steamで販売されてるゲームはおおよそ動く印象なので、互換性で困ることは少ないかな〜と思います。最近はSteam Deckという先行機のおかげでSteamOSでの動作確認にも積極的なところは少なくないですし。
Steamはその特性上、CS機よりも圧倒的にインディーゲームが多く、またアーリーアクセスなゲームも多いので、ゲームの数に困ることはないでしょう……あまり。
というのもSteam上にあるにも関わらず、Apex LegendsはアンチチートのためにLinuxを拒否してるのでプレイできません。競技シーンがあるゲームはやれない可能性を考えてもいいでしょう。
また、あくまでSteam(=Valve)のプラットフォームなのでValorantやLOLなどはプレイできませんし、同じ理由でFortniteもできません。ここら辺の塩梅はゲーミングPCとCS機の間くらい、と考えていいでしょう。
ゲーム機としての性能は十分にある感じ。このマシンのいいところはSteamというプラットフォームが出し、かつ頻繁に新機種が出ないところでしょう。今買うと新機種が……?というのも出づらいし、ゲーム開発者としてもある種、動作要件をSteam Machineという一つの基準で決めることができます。
つまり、Steam Machineで動くならOK、みたいな基準が出来上がるかもしれません。
まとめ
Steam MachineはゲーミングPCでありつつもよりCS機に近い使い心地を目指したものと言えます。
SteamOSなのでどうしてもWindowsと同じ使い心地を夢みてると違和感はあるかもしれませんが、しかし十分にPCらしく動いてくれることでしょう。
Steam Deckという携帯機で十分にノウハウも溜まっているでしょうし、今後が期待できるPC・ゲーム機です。というか私も普通に欲しい……。
Steam Machineをメインにするなら、一方でWindowsをちょっと動かせるN150くらいのPCも持っててもいいかもしれません。



