ミニPCの現状と選択肢【2024年11月】

最近話題に上がることの多いミニPC。パソコンは持ってなかったけど、これなら買ってみたい、と思う人もいるかもしれません。

そういう人向けに、ミニPC界隈をウォッチしている筆者から、現状のミニPCについての誤解や質問、何を買えばいいのかできる限りわかりやすく解説していこうと思います。

ミニPCとは

ミニPCは、通常のデスクトップPCよりもはるかに小さいサイズのデスクトップPCです。

具体的な定義はありませんが、おおよそ以下の特徴があります。

  1. 持ち運びが簡単なくらいかなり小さい
  2. ノートPC用のパーツを使っている

このうち(2)のノートPC用のパーツを使用している点が大きな点で、しばしば「キーボードとディスプレイとバッテリーがないノートパソコン」と言われることもあります。

ミニPCと他のPCの比較

ミニPCは既存のデスクトップPC(ここではタワー型PCとしておきます)と、ノートPCを足して2で割ったような存在です。

主に「PCにそんなに大きなスペースを割きたくないけど、ノートPCはイヤだ(→大きなディスプレイと好きなキーボードを使いたい)」という人へ刺さるようなPCです。

タワー型PCから見た時のミニPC

タワー型PCとミニPCを比較してみましょう。

よく指摘される点としては「拡張性がない」「ポートが少ない」「性能が低い」です。

一つずつ見ていきましょう。

拡張性がない」 … デスクトップPCは内部を開けるとさまざまな専用ポートがあり、後から部品の交換・増設が可能です。ミニPCはせいぜいメモリを交換する(2枚挿)かストレージを増設する(2枚挿)程度しかありません。

個人的に思うのは「大体の人は購入時からパーツを変更したりしないだろうし、拡張性がなくて困るようならミニPCはそもそもニーズに合っていない」です。なので「拡張性がない」と言われてピンとこない人は気にしなくていいデメリットでしょう。

ポートが少ない」は若干注意が必要です。物によってはUSB Type-A(Type-Cじゃない方で皆さんが思い浮かぶポート)が3個しかなかったりします。ノートPCと同じですね。

これは普通の人でも足りなくなる可能性があります。その場合はハブなどを購入して対応する必要があります。

性能が低い」これはよく言われますが、確かに同じ価格でタワー型PCと比べると劣ることは多いです。ただこれは場合によるというか、目的によるというか……。

詳細は後述しますが、低価格帯ではコスパに優れることもありますし、限界はありつつも性能を追い求めるのはミニPCの役目ではないと感じます。

また、N100のような超低価格でも健全に動作するようになってきたことを鑑みるに、基本的な用途では性能が低くても困ることはなくなってきたな、というのが所感です。

逆に良い点は圧倒的。「小さい」です。タワー型PCはどうしてもでかくなりがちですが、ミニPCは机の上に置いても大きく邪魔にならない点が良いところです。なのでタワー型PCを部屋に置くのは嫌だ!という人には唯一無二の選択肢と言えるでしょう。

ノートPCから見た時のミニPC

ノートPCから見た時のミニPCはわかりやすいです。「キーボードとディスプレイとバッテリーがないノートPC」と考えて良いでしょう。

それがメリットと言えるか、デメリットと言えるかは人次第です。持ち運びが必要ならノートPCがいいですし、大きなモニターで使うのが主ならミニPCで、という感じです。

ノートPCに外部モニターを繋げば良くない?という人もいるでしょう。

実際のところ、それをやると以下のような問題点が出てきます(経験則)

  • ノートPCが大きくてゴチャゴチャする
  • 固定設置して運用するならノートPCの意味あんまないし、時たま取り出すような運用をするとケーブルとか周辺機器の取り外しがイライラする
  • ノートPCのディスプレイは小さくて使いづらく、大きな外部モニターと合わせて使いづらい
  • ノートPCを閉じて使う時、スリープ運用だと時たま(なぜか)ファンが暴走してうるさい
    • シャットダウンすると、蓋を閉じた状態で電源をつける手段がない

など……とにかく色々な問題があります(WindowsのノートPCは。MacBookなら特に問題ないです)

「バッテリーがないから停電に弱い!」という主張をたまに見ますが、バッテリーがないのは普通のタワー型も同じなのであんまり気にしてくていいと思います。停電ってそこまで日常的に起こるもんじゃないし、それでいうならPS5とかも停電によわいし……

ミニPCは「安くても性能の良いPC」?

ミニPCは「安くても性能の良いPC」と思っている人を時たま見ます。もしくは「○万円(たいてい〜5万)のミニPCでゲームはできますか?」などの質問を見ます。

これに関する答えはこうです→「何かしたいことがあるとき、それができるかどうかの価格感は普通のPCと大して変わりません

そもそもなぜ「安くて性能が良いPC」という認識が生まれるのかというと、Intel N100の存在があるからだと思います。

Intel N100は第7世代 Core i7相当の性能があり、搭載PCは3万円台からで購入が可能です。

これは革新と言ってもよく、「超安い価格なのにまともに動くPC」というのがそれまでなかったからです。だからすごいと言われるのです。

ただしこの「まともに動く」というのは「Webサイトをそれなりに問題なく見ることができ、Word / Excel / PowerPointがそれなりにちゃんと動く」という程度です。

さらに第7世代 Core i7相当の性能があると言いましたが、これも混乱の元です。PCを大して知らない人でもなんとなく「Core i7は性能が良い」と思ってる人も多いでしょう。

ただし聞いてください。Core i7と言っても第7世代は2017年のものです。2024年現在からしてみれば7年前。iPhoneで言うならiPhone 7です。当時は最新でも今では旧世代です。

だからN100は「まともに動くのはすごいけど別に高性能でもなんでもない」のです。ミニPCは安くて性能が良いPCではないのです!

ミニPCは性能が低い?

反対に「ミニPCは性能が低い」と言う主張も見ますが、そんなこともありません。

もちろん、同じ価格であればタワー型と比べて劣るでしょう。

重要なのは 相対的に観たらタワー型に劣るのは間違いないが、概して何かをするには十分な性能を出せるということです。

PCは性能が低い→何もできないと言うわけでもありません。

モバイル用のパーツを使っていると書きましたが、そもそもCPUの性能は「ある程度あれば、一般人にはそれ以上を使い切ることが難しい」と言う時代に入ってきています。なので、モバイル用のパーツでも日常使用では問題ありません。

じゃあ十分ではないパターンはあるのか? あります。ゲームや動画編集などの高スペックを要求する物です。これらは性能が高ければ高いほど快適になります。

ただ「いや、そこまでガチじゃないし、多少は快適さを犠牲にしてもいいから、タワー型は避けたい」とか、そういう人もいるでしょう。それらに対する答えは「価格にもよるが、選択肢はたくさんある」と言うのが答えになります。

そもそもある程度のCPU / GPUの性能で良ければ、2024年に入ってその分野は目覚しく進歩してきました。AMDがPhoenix APUを出したのを皮切りに、今ではIntelもCore Ultraシリーズを出してきて、内蔵GPUでもAAAタイトルをプレイできると言う時代が到来したのです。

なので「ミニPCは性能が低くて何もできない」と言うのは基本的にはウソになります。考えて欲しいのですが「ノートPCは性能が低くて何もできない」とは聞きませんよね?それと同じです。

ノートPCでもいいスペックのものを買えば、それなりのことはできます。つまりミニPCでもいいスペックのものを買えば、値段に見合った性能を出してくれます。ミニPCはノートPCとほとんど同じなのですから。

ミニPCは壊れやすい?

「ミニPCは中国製だから壊れやすい」という言葉を耳にします。これについては簡単には言えないのですが、一概に中国製だから壊れやすいというのは間違いです。

例えばASUSは台湾の企業ですが、故障率が高いという話は聞きません。ゲーミングノートPCのTUFシリーズを出しているのもASUSですね。

そもそも、DELLやHPなどの大手PCメーカーでも、個々のパーツは中国製が多いです。じゃあそれらが壊れやすいかというとそうではありませんね。

だから「中国製だから壊れやすい」というのは根拠のない誹謗中傷というか、いっそヘイトとか差別とか言ってもいいでしょう。

じゃあ「ミニPCは壊れにくいのか?」と聞かれると、実際のところはトラブル報告はよく聞きます。個人的には壊れやすい/壊れにくいというより品質管理が甘いような感じがします(設計に問題があるというより、検品に問題があるというか……)

海外掲示板なんかもウォッチしていますが、代表的なミニPCメーカー全般でよく耳にします。

そういう意味では本当のPC初心者にはおすすめしづらいのが現状です。

それでもミニPCを買いたい、冒険心はないけど、安心してミニPCを買いたい……そう思うなら、オススメの方法は二つです。

まず一つは、Amazonで購入すること。Amazonそのものに1ヶ月の返品保証があるので、初期不良にはこれで対応できます。メーカーの公式通販で買うより、返品も簡単です。

もう一つは、ASUSのミニPC(NUC)を購入すること。ASUSという大手が出してるところなので冒険感はないですがその分安定はしています。

それぞれの価格帯で注目するべきミニPC

ここからはそれぞれのミニPCで注目すべきミニPCを上げていきます。

〜4万円台

ここら辺はN100とか、N97くらいしかありません(ややこしいですが、性能はN100よりもN97の方が上です)

正直この辺は初めてPCを買う人にはオススメしづらいというか、サブPCならともかくメインPCには勧められないな、と言うのが本音です。特別な用途がない場合は「スマホでやれることが大画面でやれるようになった」という程度の性能ですね。

〜7万円台

AMD製のCPUを搭載したPCが視野に入ってきますし、それがお勧めになります。

IntelではなくAMDのCPUが良いのは、コスパが良いからです。また、内蔵GPUの性能も高い。CPU単体の性能を見たら僅差でIntelが勝つことが多いですが、そもそも一定以上の性能はあるので実用上は困ることは少ないと思います。

〜10万円台

ギリギリでAMD Radeon 780M搭載のPCが狙えます(以下は表記上は10万円越えの場合がありますが、クーポン込みで10万円を下回ります)

Radeon 780MはiGPUの中では性能が高く、コスパも良いのでギリギリで「格安ゲーミングPC」と言えなくもない性能を持ってます。

ここら辺の価格帯は全部、特別なこだわりがなければIntelよりもAMD製CPUの方がコスパが良いです。

それ以上

色々な選択肢が出てきます。ノートPCと同様、高性能なdGPU(CPUとは別付のGPU)をつけた機種を選ぶことができます。

最もコスパがよく、安定したモデルはHX99Gですね。海外での評価も高く、実売12万程度で購入できます。

さらに高性能・後継のモデルではMinisforumのG7 Pt(Radeon GPU)/ G7 Ti(NVIDIA GPU)があります。少々値が張りますが、Stable Diffusionなどを動かしたいならこちらが選択肢に入ります。